借入時にボーナス併用払いを選択せずに住宅ローンを契約すると、会社から賞与(ボーナス)を受け取った際に資金的な余裕が生まれることがあります。こういった場合には、ボーナスを使って住宅ローンを繰り上げ返済した方がよいのでしょうか。
本記事では、繰り上げ返済の仕組みや、会社から支給されたボーナスで住宅ローンを繰り上げ返済するメリットやデメリットについて解説していきます。ボーナスを有効に使い、住宅ローンの返済負担を軽減するためのポイントを理解しましょう。
【目次】
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済してもよいの?
繰り上げ返済とはどのような仕組みか
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済するメリットとデメリット
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済するなら家計のバランスを大切に!
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済してもよいの?
ボーナスで資金に余裕が出た場合、その資金で住宅ローンを繰り上げ返済することは返済の負担を軽減するための一つの選択肢です。
ボーナスを返済に充てること自体には問題ありませんが、手元の資金に余裕がなくなるのであれば慎重に検討する必要があります。例えば、急な病気やケガでまとまったお金が必要になる場合、保険などで出費がカバーできないケースも考えられます。手元にお金を残しておく選択肢も持ちながら判断しましょう。
また、繰り上げ返済によって残高を減らす方法には2つのパターンがあり、どちらを選ぶかについても資金面でのバランスが肝となります。それぞれの特徴を把握し、場合によっては専門家に相談しながら返済準備を進めましょう。
繰り上げ返済とはどのような仕組みか
住宅ローンの繰り上げ返済とは、月々の返済とは別で資金を準備して返済を行うことです。繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つのタイプがあり、それぞれの仕組みや特徴を以下で説明していきます。
期間短縮型
期間短縮型は、繰り上げ返済を行うことで住宅ローンの返済期間を短縮する方法です。
この方法では、住宅ローンの返済期間を短縮することで利息負担を減らすことができます。また、借入時の予定よりも早期に完済できるため、将来の金利変動に対するリスクも軽減されます。
毎月の返済額は変わらないため、繰り上げ返済といっても月々の負担が軽くなるわけではありません。ただし、同じ金額で繰り上げ返済を行うのであれば、もう一つの「返済額軽減型」よりも支払う利息が少なくなります。
返済額軽減型
返済額軽減型は、繰り上げ返済を行うことで住宅ローンの月々の返済額を減らす方法です。
この方法では、返済期間を変えずに月々の返済額を減らすことができます。そのため、毎月の支払い負担を軽減させ、家計に余裕を持たせることができます。また、住宅ローンの返済期間中に金利見直しが合って返済額が上がる場合には負担軽減策としての選択肢となります。
毎月の負担を減らせる一方で、返済期間が変わらないことから利息負担は大きく減らず、もう一つの「期間短縮型」に比べると総返済額の利息軽減額は小さくなります。
どちらを選べばよいのか?
繰り上げ返済を行う場合、「期間短縮型」と「返済額軽減型」のどちらを選べばよいのでしょうか。
返済する個人の資金状況や目的によっても異なりますが主な判断のポイントは以下の通りです。
・毎月の返済が苦しい状況にあるかどうか
・手元の資金状況に余裕があるか
・返済総額を大きく減らしたいか
・変動金利で金利上昇の影響を受けるかどうか
これらのうち、どの項目を重視するかによって選ぶべき方法が異なります。まずはこれらの項目について優先順位を決めましょう。
判断が難しい場合や詳細な計算が必要な場合、金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することをおすすめします。具体的な状況に合わせて最適なプランを提案してくれるでしょう。
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済するメリットとデメリット
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済する際に、「期間短縮型」と「返済額軽減型」のどちらを選ぶかも大事ですが、そもそものメリットとデメリットも知っておく必要があります。以下ではボーナスを利用して繰り上げ返済するメリットとデメリットを紹介します。
利息を減らすことや、返済期間を短縮できる!
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済するメリットとして、まず支払うべき利息を減少させ、総返済額が抑えられる点が挙げられます。また、住宅ローンの期間を短縮することもでき、早期完済が可能です。
家計への負担が軽減されるため、日常生活の経済的な余裕も増え、将来の不測の事態に備えることが可能です。その他にも教育資金や老後資金、資産運用などさまざまな用途に浮いた資金を使うことができるでしょう。
家計の負担が一時的に増えてしまう可能性がある
一方で、ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済することにはデメリットも存在します。
年末調整や確定申告時に住宅ローン減税を受けるためには、住宅ローン残高が一定額以上必要です。ボーナス払いによる繰り上げ返済によって住宅ローンの残高が大きく減った場合、これらの条件を満たさなくなる可能性があります。
また、ボーナスは一時的な収入であるため、大きな金額を繰り上げ返済することができても、その後の生活に負担がかかる可能性があります。そのため、急な出費や予期せぬ状況に対応するため、ボーナス全額を繰り上げ返済にあてる以外にも、ボーナスの一部を繰り上げ返済にあてるなどの柔軟な選択肢を持つことも重要です。
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済するなら家計のバランスを大切に!
ボーナス払いで住宅ローンを繰り上げ返済する際には、手元資金や月々の返済負担を考慮しつつ、何を目的とするかをハッキリさせてから判断することが重要な ポイントです。
繰り上げ返済によって、住宅ローンの返済負担や返済総額を軽減することができますが、一方で手元の資金が減ることにもなります。また、住宅ローン残高が一定額を下回ると住宅ローン減税を受けられない可能性もある点に注意が必要です。
計画的に資金を確保しつつ、期間短縮型と返済額軽減型を比較し、自身の状況に合った方法を選びましょう。
辻本 剛士(つじもと つよし)/ファイナンシャルプランナー
神戸で活動中の独立型FP。高度な専門性が求められるFP1級、CFPに独学で合格し、2023年1月から開業。
個人向けFP相談と金融に関するWEBライター業務をメインに活動中。