最終更新日: 2024年11月29日
住宅ローンを利用すれば、税金が減免される「住宅ローン控除」を受けることができます。今回から3回にわたり、住宅ローン控除制度について解説していきます。
お得な「住宅ローン控除制度」。覚えておきたい3つの注意点
「住宅ローン控除」とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを購入すると、所得税額から税金が控除される制度です。ただ、この住宅ローン控除を利用するためには、以下のような要件を満たさなければなりません。
・合計所得額が3,000万円以下
・住宅ローンの期間が10年以上
・家に購入した年と前後2年の計5年間に「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」などを利用していない
・戸建ての場合、建築後20年以内、または耐震基準に適合する建物
・確定申告をする など
そして、覚えておきたい注意点が主に3つあります。
- 「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」の方が得かも?
新しい家を購入するために今まで住んでいた家を売る場合、元々の家の売却代金から新しい家の購入代金や諸費用などを差し引いて、売却による所得を抑えることができます。地価などが大きく跳ね上がっていない限り、一般的には儲けが多く出るケースは少ないので、売却するにあたって税金がかからないか、ごく少ない税金で済みます。
※相続した場合なども該当します。
しかし、手元に領収書などの書類が無い場合、「売却代金の5%」が取得にかかった費用とされることが一般的。そうなると売却代金の95%が儲けとなってしまい、税金が多くかかるのです。
こういったケースで利用できるのが「マイホームを売った時の軽減税率の特例」。この特例を使うと、住んでいた家を売った金額から3,000万円が差し引かれます。つまり3,000万円以下で売却すれば、差し引き0となり、税金はかかりません。
※10年以上所有していた、など適用要件あり。
なお、上記要件にあるように、住宅ローン控除は「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」と併用できません。取得費などの領収書が残っていない場合は、この特例を使うか、住宅ローン控除を利用するか、しっかり試算して選択する必要があることを覚えておきましょう。
- 中古住宅の購入は要チェック!
中古住宅の購入の場合は、建築年度や耐震基準についての確認は不可欠。例えば、建築年数が1年古いために住宅ローン控除が受けられないこともあり、その場合の負担額は数百万円も違ってきます。
- 確定申告が必須!
住宅ローン控除を受けるには、確定申告をしなければなりません。面倒に思うかもしれませんが、今はネット上で必要な書類を作ることもできるようになりました。マイホームを購入した翌年の2月16日~3月15日に確定申告を行いましょう。
職場での年末調整がある方は、最初の1度だけ確定申告を行えば、翌年以降、住宅ローン控除に関する申告は年末調整で行えます。
年末に残っている住宅ローン残高の1%が10年間にわたり税額控除される
住宅ローン控除額の計算は、実はとてもシンプル。年末に残っている住宅ローン残高の1%が10年間にわたり税額控除されます(100円未満の端数金額は切り捨て)。ちなみに「税額控除」とは「その金額の税金を支払わなくて良い」ということです。
一般住宅では年間40万円、長期優良住宅・認定低酸素住宅では年間50万円がそれぞれ上限となり、税金が控除されます。
この控除額は、支払うべき所得税から差し引かれ、所得税から引き切れなかった分は翌年の住民税から差し引くことになります。
※住民税は前年の所得税を基に計算されるため、翌年になります。
住宅ローン控除などの各種制度や住宅ローンについても慎重に検討しよう!
住宅の購入は「一生で最も大きな買い物」といわれています。物件そのものの金額を検討するのはもちろん、利用できる控除などの制度はしっかり調べておきましょう。一般的に住宅ローン控除を利用する条件は難しくありませんが、ちょっとした注意は必要です。
また、選択する住宅ローンによっても支払う利息などに大きな違いが出ます。一般的な金融機関が勧める変動金利や短期間の固定金利を選択すると、後の経済状況によっては大きく金利が上昇する可能性も否定できません。
現在は金利の上昇リスク回避のために、【フラット35】のような全期間固定金利を選択する住宅ローン利用者も増えてきました。