最終更新日: 2024年11月29日
住宅ローンの利用にあたっては、多くの契約書を交わすことになります。これらの契約書は住宅ローンの申し込み時のほか、すまい給付金の申請時など、さまざまシーンで必要となる可能性があります。この記事では、住宅ローンの利用においてどのような契約書を交わすことになり、仮に紛失した場合はどのような手続きが必要になるのかを解説します。
【目次】
住宅ローン利用時に取り交わす契約書等の書類の種類
住宅ローンの契約書についての注意点
住宅ローンの契約書を紛失した場合の対応
一括返済を行う際のタイミングと完済後の資金計画は合わせて考えよう
住宅ローン利用時に取り交わす契約書等の書類の種類
住宅ローンの契約手続きではさまざまな書類のやりとりが発生します。手続きの際に作成する契約書等の種類や内容について解説します。
金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書はお金の貸し借りが発生する際に交わす契約書です。住宅ローンやそのほかのローンのように金融機関からお金を借りる場合や、奨学金を借り入れる際にも使用されます。なお金銭消費貸借契約とは、お金を借り「後日返済を行います」という契約を意味し、「金消」と略して呼ばれることもあります。
金銭消費貸借契約書には当事者の情報のほか、どのくらいのお金を借りたかという融資額や返済に関する条件が細かく記載されています。
- 貸主(金融機関)の名前・住所
- 借主(債務者)の氏名・住所
- 借入金額
- 金利タイプ(固定金利・変動金利など)
- 適用金利
- 返済方式(元金均等返済・元利均等返済)
- 返済日
- 返済額(毎月・ボーナス月)
- 返済期間
- 遅延損害金の利率
- 連帯保証人が必要な場合はその人の氏名・住所
通常、金銭消費貸借契約書は2通作成され、債権者と債務者の双方が実印を押し、印紙税を納付(収入印紙を貼付)したものを各自が保管します。
抵当権設定契約書
抵当権とは、住宅ローンの契約者が万が一返済不能に陥った場合に、金融機関や保証会社が対象の物件を差し押さえて売却し、返済の一部に充てることができる権利です。抵当権設定契約書は住宅ローンを利用する際に必ず取り交わす契約書ですが、金融機関によっては金銭消費貸借契約書と一体になっていることもあります。そのような契約書を「金銭消費貸借兼抵当権設定契約書」と呼びます。
抵当権設定契約書には抵当権者や抵当権設定者に関する情報、融資の内容、条件などが記載されています。
- 抵当権者(金融機関)の名前・住所
- 抵当権設定者(住宅ローン申込者つまり債務者)の氏名・住所
- 借入金額、借入日、返済期日、適用金利
- 登記手続きに関する費用負担の内容 など
抵当権設定契約書は原本を金融機関が保管し、住宅ローンの申込者は写しを受け取ります。
団体信用生命保険申込書兼告知書
住宅ローンの利用にあたっては、団体信用生命保険への加入が必須となることが多いです。団体信用生命保険へ加入するには、金融機関が指定した保険会社に申し込みを行う必要があります。その際には申込書と併せて現在の体況を報告する「告知書」を提出します。申込書については複写式になっているケースが多く、その場合は本書を保険会社が、控えを申込者が保管します。
保証委託契約書
住宅ローンを利用する際、保証人が不要である代わりに保証会社を利用するケースがあります。その際、住宅ローンの申込者と保証会社との間で交わす契約書のことを「保証委託契約書」と呼びます。
保証委託契約書には、住宅ローン利用者の氏名および住所のほか、保証会社の名前や住所を記載するほか、保証料の内容や支払方法、保証料の返還が発生する場合は返還方法などが記載されています。保証委託契約書は本書を保証会社が保管し、住宅ローンの申込者は写しを受け取ります。
また、多く金融機関においては住宅ローンの契約約款のなかに「保証委託約款」としてその詳細を明記しています。
住宅ローンの契約書についての注意点
住宅ローンに関わる契約書は書面を金融機関が用意するケースがほとんどです。そのため、記載内容が実際に契約する内容と相違ないかを必ず確認してください。ここでは、契約書をチェックする際にどのような点に注意するべきか解説します。
契約書の内容をよく確認のうえ捺印する
契約書は文字量が多く専門的な用語が使用されており、手間を嫌ってわからない点についてついつい読み飛ばしてしまいがちです。しかし、後々のトラブルを避けるためにも、契約書の内容についてはしっかりと理解したうえで捺印する必要があります。捺印は「契約内容について同意した」という意思表示になることを覚えておきましょう。
できれば、事前に契約書を見せてもらい、内容に間違いや不備がないかどうか確認するようにしましょう。もしも記載されている内容に誤りがあったり、書かれていない内容を見つけたりした場合は、締結前に金融機関の担当者に連絡をし、作成し直してもらうようにしてください。そのうえで再度確認し、間違いがないことを確認したうえで、契約書に捺印しましょう。
契約書や書類の控えは保管しておく
通常、印紙税の対象となる文書については2通作成し、各々が捺印したものを保管する決まりです。また印紙税の対象外の文書については、金融機関もしくは保証会社、さらには保険会社が本書を保管し、住宅ローンの申込者は控えを受け取ります。いずれも重要な書類ですので、なくさないように保管しておきましょう。
住宅ローンの契約書を紛失した場合の対応
契約書の原本・控えは契約時だけではなく、すまい給付金の申請時など、さまざまなケースで必要となります。もし紛失してしまった場合は、再発行ができるのでしょうか。
住宅ローンの契約書は再発行できる?
住宅ローンの契約書は再発行ができないケースが多いです。ただし、契約先の金融機関や保証会社等が原本を保管しているため、相談すれば写しをもらえる可能性があります。ただし、契約書の写しは郵送されるケースが多く、手元に届くまで時間がかかります。申請の期限が迫っているといった場合は、早めに連絡し、速達で送ってもらうか、契約先に直接取りに行くなどの方法を検討しましょう。
インターネット上でダウンロードできるケースも増えている
近年はインターネット上で契約を行う「電子契約」を活用している金融機関もあります。電子契約は契約書に貼付する印紙税が不要というメリットがありますが、契約書を紙として受け取れないという点に注意が必要です。電子契約で住宅ローンの契約を結んだ場合、契約書は会員ページなどからダウンロードすることで取得できますので、必要に応じて印刷して利用すると良いでしょう。
住宅ローンの契約をスムーズに進めるために
住宅ローンの契約の際には、「金銭消費貸借契約書」や「抵当権設定契約書」などさまざまな契約書を取り交わします。また、住宅購入の際には不動産会社と「売買契約書」を結んだり、注文住宅を購入する際には「工事請負契約書」を交わしたりと、多くの契約書をやり取りします。
契約までの期間を短縮することを考えるあまり、契約書の内容のチェックを疎かにしてしまうケースも見受けられます。後にトラブルを引き起こさないように、手続きの流れの中で契約書のひな型を前もって見せてもらい、どのような内容が記載されるのかを確認するようにしましょう。
住宅ローンの契約は借入金も高額で返済期間も長く、返済完了までずっと効力を持ちます。信頼できる金融機関・不動産会社だから大丈夫だろうと過信せず、契約の際にはどのような契約であっても、内容を細かくチェックしてください。そして、納得がいかない場合は絶対に捺印しないように心掛けましょう。