最終更新日: 2024年11月29日

住宅ローンを借りる際、まず気になるのが「毎月の返済額」でしょう。住宅ローンには「変動金利型」と「固定金利型」の2種類があり、住宅ローンの利用開始時においては変動金利型のほうが低金利です。そのため、毎月の返済負担を軽くしようと思えば、変動金利型のほうが魅力的に見えます。

ただし、住宅ローンは長い時間をかけて返済するもの。もちろん、金利や毎月の返済額に目を向けることは重要ですが、金利タイプ別の住宅ローンの特徴やメリット・デメリットを理解し、自分たちのライフスタイルに適しているのかを考えて選ぶことが大切です。

そこで今回は、変動金利型と固定金利型、それぞれの住宅ローンについて見ていきましょう。

低金利局面が続けば返済負担が軽い変動金利。
ただし、金利上昇時は要注意!

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変動金利型の住宅ローンは文字通り、定期的に金利が見直され変動するタイプ。通常、金利は6か月ごと、返済額は5年ごとに見直されます。

例えば、適用金利が低下すると、5年間は毎月の返済額は変わりませんが、利息の割合が少なくなり、元本の返済に回る金額が多くなります。反対に、適用金利が上昇すると、利息の割合が多くなり、元本の返済に回る金額が少なくなります。

<金利低下・上昇の例(5年間)>

・現在

毎月返済額:90,000円、利息:18,000円、元本:72,000円

・金利低下

毎月返済額:90,000円、利息:17,500円、元本:72,500円

・金利上昇

毎月返済額:90,000円、利息:18,500円、元本:71,500円

変動金利型の住宅ローンは、金利が上昇しなければ、適用金利も低いままで有利です。しかし、景気が良くなり適用金利が上昇すると、利息負担が増えることに。1%の金利が1.5%に上昇すれば利息負担は1.5倍、2%に上昇すれば利息負担は2倍になります。通常、景気が良くなると、金利も徐々に引き上げられていくため、「世の中は景気が良いのに給与は上がらず、住宅ローンの負担だけが増えた」となることも否定はできません。

反対に言えば、景気が悪いままであれば金利は上昇しにくく、「変動金利型の住宅ローンを選んで良かった」となる可能性が高くなります。

また、ライフスタイルから考えると、以下のような状況であれば、変動金利型の住宅ローンが適しているといえます。

・金利が上昇しても返済できる世帯(収入や金融資産に余裕がある)

・今後も子どもがいない予定、または子が独立したなど、年々増える教育資金の心配がない世帯

・借入額が少額である、または返済期間が比較的短期である世帯

返済額が増えない安心が売りの固定金利。
相対的に高い金利は「保険料」

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一方、固定金利型の住宅ローンは、あらかじめ適用される金利が決まっているタイプ。各銀行や信用金庫が取り扱う「【フラット35】」も固定金利型の住宅ローンのひとつです。

相対的に変動金利よりも適用金利は高いものの、今後、金利が上昇しても返済額が増えない「安心」の「保険料」と捉えることもできます。

ライフスタイルから考えると、以下のような状況であれば、固定金利型の住宅ローンが適しているといえます。

・金利が1~2%程度上昇すると返済できなくなる恐れのある世帯

・今後、子どもの進学などを控えており、教育資金の負担が年々増加する予定がある世帯

・片働き、もしくは現在は共働きだが今後片働きになるなど、収入の増加を見込みにくい世帯

なお、銀行などでは当初一定期間(3年、5年、10年など)の金利を固定する「固定金利期間選択型」ローンも扱っています。

変動金利型と固定金利型、どちらの住宅ローンが良いのか唯一の答えはない!

変動金利型と固定金利型、どちらが良いのかについて唯一の答えはありません。

「今後、給与が安定的に増えるから、変動金利でも大丈夫」

「子どもの高校、大学の学費の負担を考えると、住宅ローンが増えると困るから固定金利にしょう」

投稿者

  • 益山真一

    「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。
    仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年10月末時点で累計2,692回を数える。
    ウェブサイト:http://www.fp-masuyama.com/

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