最終更新日: 2024年11月29日

理想のマイホームを手に入れるために住宅ローンの申込みをする際、借入金額が大きいほど返済に対する不安は大きくなります。特に4000万円を超える金額となってくると、一生に一度の買い物とはいえ、自分がきちんと返せるだろうかと不安に思うことは不思議ではありません。

この記事では、住宅ローンの返済がきつくならないための方法を紹介していきます。まずは適正な年収や月々の返済額を理解し、現実的な計画を立てることが大切です。

さらに、年収が足りない場合、頭金を増やす方法などの返済負担を軽減するための対策について解説します。自分に合った返済プランを立て、夢の住まいを手に入れましょう。

【目次】
借入可能額の決め方
4000万借りるための適正年収
4000万借りたときの月々の返済額と手元に残る金額
適正年収に満たないときの対処法
4000万借りても返済負担率を抑えればきつくない!

借入可能額の決め方

住宅ローンは個別の審査によって借入可能額が決められます。借入希望額が4,000万円の場合であっても、審査結果によっては借入可能額が4,000万円に満たない可能性もあります。

以下では、金融機関が借入可能額を決める際に審査される主な要素について解説します。

返済負担率

返済負担率とは、収入に対して住宅ローンの返済額がどれくらいの割合になるかを示す指標です。返済負担率が低いほど、収入に対しての返済負担が抑えられていると判断できます。

一般的に、返済負担率は手取り収入の25%以下が理想とされています。この負担率を考慮し、自分の借入可能額を計算してみましょう。返済負担率(%)は「年間のローン返済額÷年収×100」で求められます。

例として、手取り年収500万円で返済負担率が20%の場合、毎月の返済額は8.3万円(年間で100万円)となります(ボーナス払いなし)。

住宅ローンの審査での返済負担率は、手取りではない額面年収における住宅ローン以外の借り入れも含めた返済総額の割合での評価です。そのため、奨学金の返済やカードローンの支払いも含まれる点に注意しましょう。

金融機関ごとに返済負担率の基準は決められていますが、【フラット35】では、以下のようになっています。
・額面年収400万円未満:30%以下
・額面年収400万円以上:35%以下

支払い能力

審査においては、収入に対してどれだけの金額を返済に充てることができるかといった支払い能力が見極められます。支払い能力は家計の収支状況や生活費、将来の収入見込みなどを考慮して評価されます。借入可能額は支払い能力に応じて決まるため、自分の収入に合った計画を立てることが大切です。

融資率

融資率とは物件の取得にかかる費用のうち、ローンでまかなう部分の割合です。融資率を考慮して、借入可能額を算出することで無理のない借入が可能となります。【フラット35】では融資率90%以下・90%超で適用される金利が異なります。

物件の価値

物件の価値も借入可能額に影響を与えます。物件の評価額が高いほど、融資を受けることが容易になります。住宅ローンの審査では、物件の評価額を考慮して借入可能額が決定されるため、物件の選定も慎重に行いましょう。

4000万借りるための適正年収

4000万円を借りる際の適性年収を知るため、年収500~700万円の場合における返済負担率と毎月の返済額の例を示します。

手取り年収 (万円)4000万円ローンの返済負担率
50030.487%
60025.406%
70021.776%

※ 条件: 金利1.730%、返済期間35年、頭金なし、元利均等返済

表の内容より、年収500万円では返済負担率が30%を超え、数値だけで見ると収入に対する返済負担が重くなってしまうことがわかります。年収600万円では返済負担率が約25%となり、4,000万円の借入に対して無理のない返済が可能と判断できます。そのため、借入手取り年収が600万円以上あれば4,000万円の借入をしても生活に支障がない負担の中で返済できる水準だと考えられるでしょう。

4000万借りたときの月々の返済額と手元に残る金額

より具体的な計画を立てるために、月々の返済額を考慮し、年収ごとに手元にいくらお金が残るのかを計算してみましょう。以下は月々の返済額が12.8万円となった場合における年収500~700万円の返済負担率と手元に残るお金を示した表です。

【年収による月々の手元に残るお金】

年収 (万円)月々の返済額返済負担率手元に残るお金
50012.8万円30.487%28.8万円
60012.8万円25.406%37.4万円
70012.8万円21.776%45.5万円

※ 条件: 金利1.730%、返済期間35年、頭金なし、元利均等返済

無理のない返済プランを立てるためには、自身の年収や家計の状況に合わせて適切な借入計画を立てることが大切です。返済額や手元に残るお金を考慮し、銀行や金融機関と相談しながら住宅ローンを組むようにしましょう。

なお、上の計算結果はあくまで一例であり、諸条件によっては金額が異なる可能性があります。個別の計画を立てる際には、専門家のアドバイスを受けながら設計を進めるのが安心です。

適正年収に満たないときの対処法

住宅ローンで4000万の借り入れを検討するにあたって、適正年収に満たないと借入ができないのではといった不安を抱える人も多いでしょう。そこで、審査を通りやすくするためにできる適切な対処法を説明していきます。

頭金を増やす

頭金とは、物件購入の際に物件価格の一部を現金で支払う部分のお金のことを指します。例えば、年収500万円の人が4000万円の物件を購入する際に、頭金250万円を用意できたとしましょう。この場合、実際に借入れるローン額は3750万円になります。借入額を減らすことで、毎月の返済負担を軽減することが可能です。

例として、3750万円の借入で月々の返済額を計算してみると、返済負担率は28%となり、月々の返済額は約9万円前後となります。このように頭金を上手に活用することで返済負担率を抑えることができ、無理のない返済プランを立てることができます。

住宅購入を検討する際は頭金の重要性を理解し、節約や貯蓄、ボーナスの活用などで資金を工面することを検討しましょう。

ペアローンや収入合算で利用する

1人の収入では希望額の借入れが難しい場合、ペアローンや収入合算することによって希望金額が借りられるケースがあります。

ペアローンとは1つの物件に対して夫婦や親子などで2本の住宅ローンを組む方法です。夫婦などそれぞれの収入を基準に審査されるため、2人分の収入を合計すると希望金額を借りられる可能性があるでしょう。

ただし、ペアローンは夫婦が個別に審査を受けるため、片方の審査が通らなかった場合は全体の審査が落ちるリスクもあります。

一方で、収入合算の場合は住宅ローンを申込む人の収入に加えて、一定の収入のある配偶者などの収入を合算して申込む方法です。収入合算の対象者は連帯保証人になります。金融機関や住宅ローンのプランによってはペアローンや収入合算が利用できない場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

4000万借りても返済負担率を抑えればきつくない!

一生に一度の大きな買い物と言われる住宅購入にあたって、大きな金額を借りることに不安を覚えるのは自然なことです。住宅ローンの利用にあたっては、きちんとした知識をもって臨むことで安心感も生まれます。

たとえば、4000万円の借入れをする場合でも、頭金を増やして返済負担率を下げることなどで、無理のない返済プランを立てることができます。また、ペアローンや収入合算を検討してみることも返済負担を減らす方法の一つです。

個々の状況に合った返済プランを立てるためにも、資金準備の段階であっても、ぜひ専門家に相談してみましょう。住宅ローンとは長いお付き合いとなるため、しっかりと事前に準備して無理のない計画を立てましょう。

投稿者

  • 松田聡子

    群馬FP事務所代表。
    日本FP協会認定CFPR・DCアドバイザー・証券外務員2種。
    ITエンジニア、国内生命保険会社を経て2009年に独立系FPとして開業。
    「住宅ローンを無事に返済しきるには健全な計画が肝心」をモットーに住宅ローン相談にも対応中。

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