住宅ローンに保証人は必要なの?連帯保証人や連帯債務との違いと併せて解説

金融機関でお金を借りる場合、保証人を立てることを求められる場合がありますが、住宅ローンでは基本的に不要です。しかし、借りる人の収入が少ない場合などに保証人を求められる可能性があります。

本記事では、連帯保証人や連帯債務など債務保証の意味や、住宅ローンにおいて保証人が必要となるケースについて解説します。

【目次】
住宅ローンに保証人は必要?
保証人と連帯保証人・連帯債務者の違い
住宅ローンで保証人が必要になるケースとは?
連帯保証人が必要になった場合
住宅ローン保証人は基本不要だけど必要なケースもある!

住宅ローンに保証人は必要?


最初に、住宅ローンと保証人の必要性の基本を押さえておきましょう。

保証人の役割

保証人とは、お金を借りた人(主たる債務者)が返済できなくなった場合に、代わりに返済の義務を負う人です。

債権者としては、貸したお金が返ってこないリスクに備えておく必要があります。その対策の1つとして、「保証人を立てる」という方法があるわけです。

住宅ローンに保証人は基本的に不要

住宅ローンの契約では、保証人は基本的に求められません。

通常、住宅ローンでは債権者である金融機関がローンの目的となる物件に抵当権を設定します。ローンを組んだ人が返済できなくなった場合、金融機関は担保である不動産を売却してその代金が債券に充てられます。

ローンの目的である土地や建物が担保になるため、保証人なしでも利用できるのです。

保証会社を利用できる

物件が担保にできる点以外に住宅ローンで保証人がいらない理由は、保証会社が利用できる点です。

住宅ローンの保証人を立てるのは簡単ではないため、保証会社の保証を条件とする金融機関がほとんどです。保証料はかかりますが、保証会社の利用で保証人を立てずに借入ができるようになります。

金融機関としては、保証会社の保証と抵当権によって二重に貸倒れリスク対策が取られるため、保証人までは求めないというわけです。

保証人と連帯保証人・連帯債務者の違い

保証人には単なる「保証人」と、より責任の重い「連帯保証人」の2種類があります。また、連帯保証人と似た言葉に「連帯債務者」があります。それぞれの違いを見ていきましょう。

保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人は、「お金を借りた人が返済できない場合に返済を肩代わりする」という点は同じです。

保証人は、お金を借りた人に返済能力があれば、債権者からの請求を拒否できます。一方、連帯保証人は、お金を借りた本人と同等の返済義務を負います。債権者から返済を求められた場合には応じなければなりません。

金融機関のローンで保証人を立てる場合、貸倒れリスクを軽減するために「連帯保証人」を求めるケースがほとんどです。

連帯保証人と連帯債務者の違い

連帯保証人と連帯債務者は似たイメージの言葉ですが、意味合いは異なります。

「連帯債務」とは1つのローンに対して債務者が複数人いることを意味し、連帯債務者はそれぞれがローン全体に対して責任を負います。

連帯保証人と連帯債務者の大きな違いは、「連帯保証人は債務者ではない」という点です。連帯保証人は借りた人がお金を返せない場合のみ、返済義務が生じます。一方、連帯債務者は、ローンが存続する間は返済義務を負います。

住宅ローンで保証人が必要になるケースとは?

通常、住宅ローンで保証人は不要ですが、以下のようなケースでは保証人が必要になります。

収入合算をするケース

住宅ローンの借入金額に対して借りる人の収入が少ない場合、夫婦や親子の収入を合算する場合があります。

収入合算には以下の3つのタイプがあります。

  1. 連帯債務型
  2. 連帯保証型
  3. ペアローン

 

「連帯債務型」とは

連帯債務型とは、住宅ローンを夫婦や親子など2人で借り入れ、連帯して債務者となる方式です。連帯債務型で利用できる住宅ローンは、主にフラット35です。

例えば、夫の収入だけでは希望する金額の借入ができない場合、夫と妻の収入を合算して妻が連帯債務者になるケースが考えられます。この場合、1本のローン契約を2人で返すことになり、それぞれの返済額は収入などを目安に任意で決められます。

団体信用生命保険は原則として主たる債務者のみの加入ですが、フラット35では夫婦連生型の団信「デュエット」の利用が可能です。デュエットは夫婦のいずれかが死亡または所定の身体障害状態になった場合、以後の返済が免除されます。

なお、連帯債務型では2人とも債務者であるため、双方が住宅ローン控除を受けられます。

「連帯保証型」とは

連帯保証型とは、夫婦などで収入合算をしてローンを申し込み、どちらかが契約者と連帯保証人になるタイプです。

ローン契約は1本で、債務者も1人です。夫と妻の収入を合算してローンを申し込み、夫名義で契約して妻が連帯保証人になるケースなどが考えられます。

連帯保証型で団体信用生命保険に加入できるのは債務者のみなので、連帯保証人が死亡した場合には保険金は支払われません。また、住宅ローン控除を受けられるのも債務者のみで、連帯保証人は受けられません。

「ペアローン」とは

ペアローンとは、夫婦や親子でそれぞれ単独の住宅ローンを借りる方法です。契約するローンは2本となり、金融機関によっては双方が相手の連帯保証人となる場合があります。

ペアローンは2本のローンであるため、契約者はそれぞれ団信加入ができ、住宅ローン控除も受けられます。

親の土地に建物を建てるケース

親の土地に子が住宅ローンを利用して建物を建てる場合、建物だけでは担保価値が足りない可能性があります。その場合、親が連帯保証人や物上保証人になることが考えられます。

物上保証人とは自分以外の人の債務のために、自分の財産を担保提供する人のことです。子の住宅ローンの担保として自分の土地を提供すると、親は物上保証人となります。

物上保証人の責任は連帯保証人ほど重くありません。住宅ローンの債務者である子がローンの返済をできない場合、物上保証人である親は担保提供していた土地を差し押さえられます。

連帯保証人はローン全額に対して返済義務がありますが、物上保証人は担保提供した財産を失うだけです。

金融機関から保証人を求められるケース

金融機関によっては住宅ローンの審査で、保証人を求められる場合があります。

保証人を求められるケースとしては、「自営業者」「勤続年数の短い人」「借入希望額に対して収入が少ない人」が考えられます。

連帯保証人が必要になった場合

住宅ローンの審査で連帯保証人を求められた場合は誰に頼むべきか、連帯保証人になった人のリスクなどについて解説します。

連帯保証人になってもらう人

住宅ローンの借入金額は高額なため、連帯保証人を頼める人は限られます。基本的には「親もしくは配偶者」となるでしょう。

連帯保証人は自己の返済能力にかかわらず、主たる債務者と同等の返済義務を負います。親や配偶者であっても、ローンの肩代わりをさせることがないようにしましょう。

連帯保証人のリスク

連帯保証人は主たる債務者のローンの肩代わり以外にも、知っておくべきリスクがあります。

ローンの主たる債務者が自己破産した場合、連帯保証人は残債の全額を請求されます。連帯保証人に支払い能力がなくても返済を免れないため、自己破産のおそれもあるでしょう。

連帯保証人が死亡した場合、法定相続人はその地位を引き継ぎます。主たる債務者がローンの返済をできなくなると、相続人が請求されることになるのです。相続放棄をすれば連帯保証人でなくなりますが、プラスの財産も相続できなくなります。

またペアローンを組んでいた夫婦が離婚した場合、連帯保証人を外れることは難しいといえます。離婚して家を出た場合でも、家に残った元配偶者が住宅ローンを返済できなくなると連帯保証人が請求されるのです。

連帯保証人を外す方法

一旦連帯保証人になると、ローン完済まで外れるのは難しくなります。連帯保証人を外れるには、以下のような方法があります。

 

  • 残債を一括返済する
  • 住宅ローンを借り換える
  • 新たな連帯保証人を立てる
  • 家を売却する

 

住宅ローン保証人は基本不要だけど必要なケースもある!

住宅ローンを組む場合、通常は保証会社による保証や抵当権の設定などがあるため、保証人は必要ありません。

しかし、収入状況などよっては保証人を求められる場合もあるため、内容やリスクについて十分理解しましょう。

監修

松田 聡子(まつだ さとこ)/ファイナンシャルプランナー

群馬FP事務所代表。日本FP協会認定CFP®・DCアドバイザー・証券外務員2種。ITエンジニア、国内生命保険会社を経て2009年に独立系FPとして開業。
「住宅ローンを無事に返済しきるには健全な計画が肝心」をモットーに住宅ローン相談にも対応中。

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