最終更新日: 2024年11月29日
住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して融資する「【フラット35】」は、借り入れ時から返済完了時まで金利が変わらない全期間金利固定型の住宅ローン。
住宅ローンの申込みをしてから最長35年の完済時まで返済額が変わらないため、返済計画が立てやすく、家計にとっても安心・便利です。
その「【フラット35】」が2018年4月から拡充され、さらに便利で使いやすくなることをご存知ですか?
「【フラット35】がより使いやすくなる」って、どういうこと?
住宅購入をする際には、不動産や土地にかかる住宅購入価格のうち、一部を現金で支払う「頭金」と別に、諸経費についても考慮する必要があります。
諸経費とは、住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)に貼る印紙代や仲介手数料、登記費用など、さまざまな費用のことです。
本来、これらの諸費用は頭金とは別に自分で準備しておくべきもの。「自己資金=頭金」と思っていたら別途100万円単位のお金がかかり、貯金を使い果たしてしまったという話もよく聞きます。
それが、2018年4月申込み分からは融資対象が拡充され、これまで住宅ローンの対象とならなかった住宅購入時の諸費用が融資対象になったのです。
具体的には、【フラット35】を申込む際に下記の費用をローン借入額に含めることができます。
- 金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代
- 土地の取得および住宅の購入時に仲介手数料が生じる場合の仲介手数料
- 【フラット35】およびアシスト35融資手数料
- 司法書士報酬および土地家屋調査士報酬(登記費用)
- 登記にかかわる登録免許税
- 火災保険料および地震保険料
- ホームインスペクション(住宅診断)などにかかわる費用
これらの費用も住宅価格等とまとめて借り入れできれば、思わぬ初期費用で家計にダメージを与えずにすむかもしれません。
諸費用っていくらかかるの?
取得する住宅物件や不動産仲介会社、取扱金融機関などによって諸費用金額は変動しますが、一般的に新築物件では物件価格の5~8%程度準備しておくのがいいといわれています。仮に3,000万円の物件を購入するなら、150万円~240万円ということになります。
例えば、土地の取得および住宅の購入時の仲介手数料は物件価格が3,000万円ならおおよそ90万円が目安です。仲介手数料には取引価格の「3%+6万円」という上限ルールがあることも合わせて知っておくといいですね。
住宅ローンに関する諸費用では、金銭消費貸借契約書に貼付する印紙代が2万円。融資手数料は取扱金融機関によって異なりますが、おおよそ3万円~10万円が目安です。
このほか、司法書士や土地家屋調査士への報酬の目安は、10万円といわれています。
また、登録免許税は平成31年3月31日までの新築物件購入の場合、課税対象価格の1,000分の1.5が適用されます。ちなみに、課税対象価格は物件価格ではなく固定資産課税台帳の価格で、通常は物件価格より低い金額です。仮に固定資産税評価額が1,000万円なら15万円になります。
これだけでも合計で120万円~130万円近い金額になることがわかります。
まだある!【フラット35】で借りられる諸費用
2018年4月からは、このほかにも借り入れ可能な諸費用項目が増えます。
例えば、中古住宅を購入するときに付保することがある「既存住宅売買瑕疵保険」。
これは、売買された中古住宅に欠陥が見つかったときに、補修費用等の保険金が支払われるというもの。中古物件の購入で【フラット35】を申込む際、この費用も融資対象になりました。
また、リフォーム一体型の【フラット35】では、中古物件を購入・リフォームする際の「リフォーム瑕疵保険」付保にかかわる費用や、太陽光発電設備の工事費負担金が融資対象となります。
このほか、借換融資の諸費用でこれまで融資対象となっていなかった「借換に伴う経過利息」と「借換に伴う繰上返済手数料」も、対象に含まれるようになりました。
家計にムリのないローン返済計画が大事!
マイホームを購入すると、新居に合わせた家具や家電製品に買い替えたくなるものですよね。
インテリアグッズや新しいスリッパなど細々したものも買い揃えているうちに、お金は羽が生えたように飛んでいってしまいます。
そう考えると、住宅取得時の諸費用が融資対象になることで、初期費用の支払いによる家計へのダメージが軽減され、初期費用が少なくてもマイホームを買いやすくなると考えられます。
しかし一方で、諸費用も含めて借りられるのは借入額の増大に繋がります。
ローン返済額が大きくて日々の家計が苦しくなったり、家族旅行できなくなったりするのは困ります。住宅初期費用を払った後のキャッシュフローと月々のローン返済額、預貯金に回すお金など、総合的な視点で家計にダメージを与えない借り入れ計画を検討しましょう。