最終更新日: 2024年11月29日
住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要だということをご存知でしょうか?
今回は、そもそも確定申告とは何なのかをご説明したうえで、住宅ローン控除を申請するために必要な手続きや書類についてFPが解説します。確定申告とはあまり縁がない会社員の方は、是非ご参考にしてください。
住宅ローン控除に必要な「確定申告」って何?「還付申告」との違いは?
インターネットで「住宅ローン控除」という言葉を検索すると、「確定申告」や「還付申告」といった言葉に出会うかと思います。まずは、似ているようで異なるこの2つの言葉の違いからご説明します。
- 確定申告とは
確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年の間に発生した所得の金額と、それに対する所得税の額を税務署に申告して納税するための手続きのこと。
一般的に、前年の所得税の確定申告は、翌年の2月16日~3月15日の間に行います(※その年によって日にちが前後します)。人によっては確定申告をすることで、「払いすぎた税金が、還付金として戻ってくる」ケース(還付申告)もあります。
- 還付申告
還付申告とは、上記で触れたような払いすぎた税金を還付金として返してもらうための手続きのことです。一般的な会社員は、勤めている会社が年末調整をしてくれるので、確定申告をする必要性はありません。しかし、会社が把握できていない控除などがある場合は、自分で確定申告(還付申告)をして、払いすぎた税金を返してもらう必要があります。
住宅ローン控除は、この「会社が把握しきれていない控除」にあたるため、還付申告が必要となります。ですので、会社員の方も自分で必要な書類を用意して確定申告書を書き、手続きしなければなりません。
※住宅ローン控除で確定申告が必要なのは1年目だけ。2年目からは年末調整で申請できるので、手続きを頑張るのは最初の年だけでOKです。
確定申告に必要な書類は?
住宅ローン控除のための確定申告をするときに必要となる書類は次の7つ。早め早めに準備をして、サクサク進められるようにしましょう。
1.確定申告書(A)
税務署で入手するか、国税庁のサイトからダウンロードをしましょう。確定申告書には「A」と「B」の2種類がありますが、会社員は「A」を使用するようにしてください。
2.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
上記申告書と同様に、税務署で入手するか国税庁のサイトからダウンロードをしましょう。
3.住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」
住宅ローンを借入した金融機関から、通常10月頃に郵送されます。到着したら、確定申告の時期まで大切に保管しておきましょう。
関連記事:「住宅ローン控除に必要な「残高証明書」はいつ届く?紛失した場合はどうする?」
4.建物・土地の登記事項証明書
法務局から入手しましょう。
5.建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
不動産を購入したときに不動産会社と契約した書類です。
6.源泉徴収票
勤務先から交付されます。勤務している職場にもよりますが、一般的には12月の給与時に交付されます。
7.マイナンバーと本人確認書類
「マイナンバーカード」もしくは「通知カード+運転免許証などの本人確認書類」が必要です。
住宅ローン控除の対象となる住宅が「一定の耐震基準を満たす中古住宅」や「認定長期優良住宅」などの場合は、それぞれの証明書が必要になります。証明書は売買契約をした不動産会社から入手しましょう。
住宅購入から控除を受けるまでの流れ
住宅ローン控除の確定申告を受けるまで手続きの流れ・用意しておく書類を時系列で整理すると、次のようになります。
いつ? | 何の時期? | 何をするべきこと?何が起こる? | |
1年目 | 年内 | 住宅購入・居住 | 不動産売買契約書を保管(5の書類) |
10月頃~確定申告まで | 確定申告準備 | 必要書類の確認・準備(5以外の書類) | |
翌年2月~3月 | 確定申告 | 必要書類をすべて揃えて税務署で手続きをする | |
申告してから約1ヵ月後 | 税金還付 | 指定した金融機関の口座に振り込み完了 | |
2年目~10年目まで | 10月~11月 | 年末調整準備 | 残高証明書・控除証明書の確認・準備 |
11月頃 | 年末調整 | 会社で年末調整の手続きをする | |
12月給与日(※) | 税金還付 | 還付分が12月給与と一緒に支払われる |
(※)勤務先によっては1月給与日になる場合もあります。
サクサク準備で賢く節税!
実は住宅ローン控除などの還付申告は確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間申告書の提出が可能です。つまり、2月16日~3月15日に限られないということ。初めての確定(還付)申告で税務署の人に相談しながら進めたい方は、2月・3月の混雑時期を避けたほうがいいかもしれません。
これまで確定申告に縁がなかった人にとっては面倒に感じる手続きもありますが、住宅ローン控除の節税効果はやはり大きいもの。書類さえ揃っていれば、入居後年が明けてすぐに申告できるので、早め早めに書類を整え、サクサク申告を済ませてしまいましょう。