最終更新日: 2024年11月29日

住宅ローンを申込む際、配偶者にカーローンやカードローンなどの借金があると住宅ローンの審査は通るのでしょうか。また、夫婦の収入合算で住宅ローンを組む場合では、配偶者の借金は審査に影響してくるのかも気になるところではないでしょうか。

本記事では、配偶者に別で借入がある場合、住宅ローンの審査が通らない理由になり得るのかという点について解説していきます。

【目次】
配偶者の借金は住宅ローンの審査に影響するのか
住宅ローンの審査に通らない主な理由
配偶者に借金があると住宅ローンに通らない可能性がある!

配偶者の借金は住宅ローンの審査に影響するのか

夫(もしくは妻)が単独の名義で住宅ローンを申込む場合には、配偶者に借金があったとしても審査に影響はありません。住宅ローンの審査では借金の金額や借入先をチェックされますが、それは申込者本人の情報についての範囲に留まります。

配偶者の情報を調べられることは基本的にありませんが、以下のようなケースで夫婦両者が関係するローンを組む際は配偶者の借入が審査に影響してきます。

・連帯債務でローンを組む場合
・ペアローンを組む場合
・配偶者が連帯保証人になる場合

連帯債務 でローンを組む場合

住宅ローンの連帯債務とは、1本のローン契約に対して2人以上(夫婦や親子など)のそれぞれが連帯して債務を負う方式です。

たとえば、夫の収入だけでは希望額の借入が難しい場合、妻も連帯債務者となり、夫婦の収入を合算することで審査における借入可能額を増やす検討ができます。

この場合、連帯債務者はそれぞれ同等の債務を負うので、当然ながら審査においては債務者それぞれの借入状況を調査されます。そのため、連帯債務者とした配偶者に借金がある場合、借りられる金額が減る、もしくは審査に通らない可能性も出てきます。また、連帯債務でローンが組める場合、夫婦とも債務者であるため住宅ローン控除の制度が夫婦それぞれで受けられます。
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連帯債務の場合、団体信用生命保険は原則として主たる債務者のみの加入となります。しかし、【フラット35】では夫婦連生型の団信「デュエット」の利用が可能です。 「デュエット」では夫婦のどちらかが死亡(または所定の身体障害状態)となった場合、それ以後の返済が不要になります。

【連帯債務のメリット・デメリット】

メリットデメリット
・それぞれ住宅ローン控除を受けられる
・諸費用が1契約分で済む
・原則として団信にどちらかしか入れない
・離婚しても連帯債務は消滅しない
・連帯債務者個々で安定した収入が必要

ペアローンを組む場合

ペアローンとは、一定以上の収入がある夫婦や親子でそれぞれ住宅ローンを契約し、金銭を借りる方法です。たとえば、共働き夫婦の夫と妻で1本ずつローンを契約するようなケースです。一般的には双方がそれぞれ相手の連帯保証人となります。

ペアローンは夫婦それぞれがローンの契約者となるため、当然ながらそれぞれの収入状況などがローン審査の対象です。どちらかに借金があれば審査落ちや借入金額の減額のリスクがあり、ペアローンにできない可能性があります。

ペアローンはローン契約が2本となるため、諸費用も2契約分かかります。また、住宅ローンの負担割合と登記上の所有割合が異なると、贈与税が発生するおそれがあります。たとえば、住宅ローンの負担割合が夫と妻で「7:3」にも関わらず、登記上の持ち分割合が50%ずつといったケースでは、夫から妻への贈与がなされたものと見なされます。

【ペアローンのメリット・デメリット】

メリットデメリット
・2人とも住宅ローン控除を受けられる
・2人とも団信に入れる
・諸費用が2契約分かかる
・離婚してもそれぞれに債務が残る
・贈与税がかかるケースもある

配偶者が連帯保証人になる場合

住宅ローンでは原則として、連帯保証人は不要です。ただし夫婦の収入を合算して住宅ローンの申込みを進めたい場合、配偶者を連帯債務者でなく連帯保証人にするケースがあります。配偶者が連帯保証人になる場合は、ローン契約は1本で主たる債務者も1人です。

配偶者が連帯保証人になるケースでは、連帯保証人にも主たる債務者と同様の審査があります。そのため、配偶者に借金がある場合は保証人にはなれないかもしれません。その場合、借入金額を減らして単独ローンにするか、配偶者以外の親族に連帯保証人になってもらうなどの対応が必要となります。

【連帯保証のメリット・デメリット】

メリットデメリット
・諸費用が1契約分で済む・連帯保証人には住宅ローン控除が適用されない
・連帯保証人は団信に入れない

住宅ローンの審査に通らない主な理由

住宅ローンの審査に通らない場合、一番の理由としては申込者本人の返済能力の問題が挙げられますが、その他にも理由が考えられます。ここでは、住宅ローン審査に通らない主な理由を解説していきます。

申込時の年齢が高い

【フラット35】の完済時の年齢は80歳までとされており、 多くの金融機関でも80歳前後を完済時の上限年齢としています。また、住宅ローンにおける返済期間は長くても35年とされています。申込時の年齢が高く、完済時に80歳を超えるケースでは住宅ローンの審査が通りにくくなります。

50代以上でローンを申込む場合、自己資金を多く準備して借入期間を短めにする、または親子リレー返済の活用などの対策が必要となるでしょう。

勤続年数が短い

住宅ローンの審査では、現在の勤務先での勤続年数を確認し、短い人は不利になる傾向があります。具体的な審査基準は金融機関によって異なり、1年未満では前向きに考えることは難しいのが一般的で、3年以上が望ましいとされます。

転職直後に住宅ローンを申込む場合、金融機関から職歴書や給与明細などの資料提出を求められることがあります。職歴書には転職の理由を明記し、「適正な転職である」と金融機関側に理解してもらいましょう。

また、【フラット35】は申込み条件に勤続年数がないため 、他の項目に問題がなければ転職したての人であっても通りやすい制度といえます。

過去に延滞などの履歴がある

住宅ローンの審査では、借入の有無や過去の延滞履歴といった個人の信用情報を調査されます。特にクレジットカードの延滞履歴や債務整理をしたことなどは住宅ローン審査に影響します。クレジットカードなどの利用は計画的に行い、支払いは締切を確認して延滞を発生させないように注意しましょう。

配偶者に借金があると住宅ローンに通らない可能性がある!

配偶者に借金があった場合でも、ローンの申込者本人が単独で契約する住宅ローンであれば、審査を進める上での影響はありません。

しかし、夫婦の収入を合算して借入金を増やそうとするペアローンなどの場青では、配偶者もローンの債務者となるため、借入状況によっては審査に通らない可能性もあります。

そもそも夫婦どちらかに借金のある状態で住宅ローンを組むのは負担とリスクが伴います。「借りられる」かどうかだけでなく、「余裕をもって返済できるか」といった点にも注目して借入を行うようにしましょう。

投稿者

  • 松田聡子

    群馬FP事務所代表。
    日本FP協会認定CFPR・DCアドバイザー・証券外務員2種。
    ITエンジニア、国内生命保険会社を経て2009年に独立系FPとして開業。
    「住宅ローンを無事に返済しきるには健全な計画が肝心」をモットーに住宅ローン相談にも対応中。

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