最終更新日: 2024年11月29日
10年にわたって所得税が控除される「住宅ローン控除」。控除を受けるために必要な確定申告・年末調整の際には、ローンの残高証明書を提出しなければなりません。
そこで今回は、残高証明書を「どう使うのか」「どうやって手に入れるのか」「なくしたときはどうするのか」など、残高証明書についてのあれこれをご紹介します。
住宅ローン残高証明書は何に使うの?
住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高の1%が、その年の所得税額から控除されるという制度です。ローン残存期間などの要件を満たしている限り、この1%控除は10年間にわたって毎年受けられます。
年度ごとの控除額は、年末時点のローン残高に応じて変わります。確定申告や年末調整で所得税額を確定するために、税務署はローン残高状況を確認しなければなりません。そのための書類が、年末時点の借入残高を証明する「残高証明書」なのです。
例えば、2,000万円の住宅ローンを組み、その年の1月から毎月7万円ずつ返済していくとします。利息を考慮しない場合、ローン残高と住宅ローン控除の金額は次のように推移します。
【1年目の年末時点のローン残高】
2,000万円-(7万円×12ヶ月)=1,916万円
住宅ローン控除の金額は1,916万円×1%=191,600 円
【2年目末のローン残高】
1,916万円-(7万円×12ヶ月)=1,832万円
住宅ローン控除の金額は1,832万円×1%=183,200 円
このように、年末時点のローン残高に応じて控除額が変わるので、正しい控除額を算出するために残高証明書が必要となるのです。
住宅ローン残高証明書はどうやって手に入れる?
残高証明書は、住宅ローンを借入れしている金融機関から毎年自動的に郵送されます。【フラット35】を借入れしている場合は、住宅金融支援機構から送付されます。
多くの金融機関は、10月上旬から郵送を開始します。毎年10月~11月頃は生命保険料の控除証明書など金融機関からの郵便物が多くなる時期なので、受け取ったら他の郵便と間違わないように確認しておきましょう。年末近くにローン契約をしたケースなど、金融機関の発行タイミングに間に合わないこともあります。こういったケースでは、翌年1月頃に郵送されます。
なお、「住宅ローンの残高証明書」は一般的な簡易名称です。金融機関によっては「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」や「融資額残高証明書」などと記載しているケースもありますが、内容的には同じものなのでご安心ください。
夫婦でローンを組んでいる場合はどうするべき?
共働きなど夫婦それぞれに所得がある場合、世帯でみたときの減税効果を考えてご夫婦ふたりでローンを組んでいるケースもあります。
このようにふたり以上でローン契約をしているケースでは、それぞれに残高証明書が発行されます。どちらも必要となるので、それぞれに届いているかきちんと確認しましょう。
残高証明書をなくしてしまった!こんなときどうする?
10月頃に残高証明書が届いても、確定申告で税務署に提出するのは数ヶ月経ったころ。必要となる頃には残高証明書がどこへいったかわからない……なんていう話もよく聞きます。
残高証明書を紛失してしまったら、住宅ローンを契約している金融機関に再発行してもらいましょう。電話や窓口で再発行依頼ができます。ただし、再発行の証明書が届くまでに数日かかることもあるので、早めに確認しておく必要性があります。
【フラット35】など住宅金融支援機構の住宅ローンを借りていて、『住・My Note』を利用している人なら、インターネット上で再発行依頼が可能です。電話などで申し出なくてもいいので便利です。
こんなときにも再発行が必要!
残高証明書が発行されたあとに一部繰上返済したりすると、証明書に記載されているローン残高が変わることがあります。こういったケースでは変更後の内容で再発行された残高証明書が金融機関から送付されるので、手続きなどでは再発行後の証明書を使用しましょう。
残高証明書が発行されたあとに記載金額に合致する返済ができなかった場合も、再発行が必要です。契約している金融機関へ連絡するようにしてください。
2年目からは税務署から届く証明書もある!
会社員なら、2年目からは確定申告ではなく年末調整で住宅ローン控除を申請できます。この手続きのために、2年目の10月下旬頃に税務署から「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」が9年分まとめて送られます。年末調整の際は、この「控除証明書」と金融機関から届く「残高証明書」の両方を会社に提出しなければいけません。毎年10月頃になったら、郵便物をしっかり確かめるようにしましょう。